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本州の中央部、長野・静岡・山梨の3県にまたがる南アルプスは、わが国最大規模の山岳地として知られています。その中で井川社有林は、くさび状に突出した静岡県の最北端、大井川の最上流部に位置した、東西の最広部約13km、南北約33kmの1団地で面積は約24.430ha。これは、民間が日本国内に所有する1団地としては最も広く、東京のJR山手線で囲まれる面積の4〜5倍に相当します。
井川社有林は、最北端にわが国第4位の高峰間(あい)ノ岳(3189m)がそびえ、東側(山梨県境)を農鳥岳・笊(ざる)ヶ岳をはじめとする白根山系と、西側(長野県境)を塩見岳・荒川岳・赤石岳系とにはさまれた急崚な奥地山岳林でそのほぼ中央を大井川が幾多の支流を集め南流し、もっとも低い部分の標高は約960mとなっています。

井川社有林は、太平洋の湿った空気が入りやすく、降水量も全国平均と比べて多く、県境の稜線付近にはハイマツの海と色鮮やかな高山植物が、山腹の亜高山帯にはシラビソやトウヒなどの深い森が広がり、また大井川沿いの比較的標高の低い所には、直径1mを越すブナやミズナなどの巨木が大きく樹冠を広げ、太古からの悠久の流れを感じさせてくれます。
豊かな植生に加え、井川社有林には、天然記念物のカモシカ・ヤマネ・ライチョウ、そしてツキノワグマ・ニホンシカなどの大型野生生物が数多く生息するなど、豊かな森林生態系が保たれています。
ライチョウ
ニホンシカ

江戸時代、井川社有林は駿府の防御としての直轄地(天領)であり、その管理を、酒井家が任じられていました。
その後、明治28年に当社創業者である大倉喜八郎が時の酒井家当主酒井忠惇からこれを購入しました。
大倉喜八郎は、購入後ただちに、東京帝大助教授の右田半四郎に山林調査を依頼、その結果、豊富な森林資源・水資源が判明し、木材生産や製材、発電事業にまで夢を膨らませ、井川社有林の木材資源と大井川での水力発電を組み合わせた事業が当社の起源となりました。


井川社有林では東海パルプの創業以来林業が営まれてきました。時代の要請などもありましたが、井川社有林では基本的には、「みだりに皆伐せず択伐による施業・・・天然力を利用した森林施業」(右田半四郎)を理想とし、その時々の森林施業計画に反映させてきました。
現在、井川社有林には、再生産可能な木材生産の場としてだけでなはなく、気象災害に弱い奥地山岳林、原生林が保存されている、登山をはじめとした森林レクリエーションの場として注目されているという特徴があり、皆さまから水源涵養機能・土砂流出防備機能、生物遺伝子資源の保全などが特に求められていると理解したうえで、自主的に伐採を控える林分を約6,400ha設けているほか、木材生産を行う部分においても収穫方法を択伐に限定し、その林の土壌条件を反映する林床植物を基準とした択伐率を設定するなどきめ細かな施業計画を立案し、現在保育作業を中心に実行しています。
| 森林区分 | 面積(ha) | 備考 | ||
|---|---|---|---|---|
| 林 地 |
木材 生産 対象 森林 |
人口林 | 1097.86 | |
| 天然林 | 13049.02 | |||
| 小計 | 14146.88 | |||
| 木材 生産 対象 外森 林 |
自然観察林 | 3362.22 | 登山道付近など | |
| 施業参考林 | 422.69 | 原生林など | ||
| 自主的禁伐林 | 1902.25 | 崩壊地の周辺など | ||
| 法的禁伐林 | 711.68 | 国立公園など | ||
| 小計 | 6398.84 | |||
| 除地 | 3894.05 | 崩壊地、岩地、道路など | ||
| 合計 | 24439.77 | |||

「山や森に来ると空気がおいしい」とか「ハイキングで飲んだ山の清水はおいしかった」とかいう経験を多くの皆さまがされているのではないでしょうか。
これは、森林の持つ「大気保全機能」や「水源涵養機能」を皆さまが肌で感じられた例と言えるでしょう。
このように森林には、木材の生産という林業的な役割以外にも、樹木の葉や根などで大地を覆う「土砂流出防止機能」や、新緑や紅葉で人々の目を楽しませる「保健休養機能」など、多面的な機能があります。
また近年、人口の爆発的な増加とそれにともなう産業活動により、温暖化・オゾン層破壊・酸雨・砂漠化・野生生物の絶滅・ゴミ問題などの地球環境問題が現実的な問題となって私たちに迫りつつあります。森林は二酸化炭素を吸収固定したり、木材を再生産できることから、こうした地球環境問題やエネルギー問題の解決に大きく貢献できる可能性があります。
| 多面的機能 | 評価額 |
|---|---|
| 水源涵養機能 | |
| (水資源貯留) | 87億4千万円 |
| (洪水緩和) | 55億7千万円 |
| (水質浄化) | 128億1千万円 |
| 計 | 271億2千万円 |
| 土砂流出防止機能 | |
| (表面浸食防止) | 282億6千万円 |
| (表層崩壊防止) | 84億4千万円 |
| 計 | 367億0千万円 |
| 大気保全機能 | |
| (二酸化炭素吸収) | 12億4千万円 |
| 合 計 | 650億6千万円 |
※井川社有林をわが国森林面積1000分の1として、林野庁発表資料をもとに計算。
※保健休養機能など、定量的価値評価になじまないものは、対象外とした。

東海パルプが創立100周年事業の一環として2007年に建設した、山岳写真の第一人者・白籏史朗氏の写真館です。
自然の宝庫である井川山林の魅力をより多くの方に満喫していただきたいとの思いから、南アルプス大井川源流部に所有する社有林(24,430ha)内の椹島に建設されました。
井川山林の素材を生かした写真館は建物としても評価が高く、2008年の日本ログハウス協会「ログハウス建築コンテスト」において農林水産大臣賞を受賞しています。
2階展示室
白籏史朗氏が撮影した四季折々の南アルプス(井川山林)の大型写真パネルを常時20点程度展示(季節により展示作品入れ替え)。
1階研修室
南アルプス荒川岳周辺の周氷河地形および高山植物の解説パネル(静岡大学理学部増沢武弘教授監修)を展示。
